岩佐佛喜堂 中編 ~香りの記憶、香想師・岩佐喜雲の誕生まで~
第四十四回 ~特別編~
やっぱり讃岐の企業やけん♡ vol.1
讃岐の真ん中から地域の魅力を伝える素人目線の観光ブログ「まんなか。」。時にはエリアを飛び越えて、地元香川のステキな企業を訪問します。
「岩佐佛喜堂」中編 ~香りの記憶、香想師・岩佐喜雲の誕生まで~
岩佐佛喜堂が手がけた讃岐発のお香ブランド・流川香。質のよさとユニークな発想がうけ、今や全国にファンがいます。
流川香の仕掛け人は、同社の現社長・岩佐武彦さんの長男である岩佐一史さん。将来は5代目を継ぐ期待の星です。
幼い頃から仏壇に手を合わせることが日課だった一史さん。線香の香りはとても身近なもので、お香が大好きだったと言います。
香りって、心が落ち着いたり癒されたりしますよね。思い出の場所やシーンと共に記憶に残ることもあります。それは思いのほか鮮明で、香りによって記憶が呼び起こされることも。
そして時には、何かを成し得る原動力にだってなるんです。
一史さんのきっかけも、ある香りとの出会いでした。
お香の原料は沈香(じんこう)という特殊な樹木。樹脂が長い年月をかけて熟成され、加熱によって香る香木です。
中でも最高峰といわれる伽羅(きゃら)は、なんともいえない香りを放つのだとか。でも、希少価値が高くかなりの高額。純粋な香りに触れる機会もなかなかないのですが…その好機に恵まれた一史さん、一瞬で魅了されちゃいました♡
お香本来の効能や魅力をもっと広めたい!
そんな思いに駆られ、香料関連の文献を徹底的に調べて独学で知識を蓄積。元々本が好きで古本屋で絶版書を漁ることもあったそうですが、当時は周囲が心配するほど勉強していたとか。
こんな古書も読み込んじゃうんだから、そんじょそこらの信念ではありません。
その努力が報われ、まずは身近な人にと開いたお香教室は口コミで評判に。中には東京や沖縄から訪れる人もいて、想像以上に香りに興味を持つ人が多いことを実感されたそうです。
さて、ここで終わらないのが彼のすごいところ。次に興味を持ったのはお香から立ちのぼる煙です。
この香りを目でも楽しめたらきっとステキなはず!と、これまた独学で煙の研究に没頭。ついに煙が下に流れるという流川香が誕生したのです。
(そのメカニズムは企業秘密。煙が流れる様子は「岩佐佛喜堂 前編」にて)
一史さんの根底にあるのはいつも、「香りを楽しんでもらいたい、喜んでほしい」という純粋な気持ち。大人気のお香教室も画期的な商品の数々も、きっと同じ思いから生まれたものです。
取材中、こんなエピソードを話してくれました。
流川香の人気商品のひとつである、いろんな寺院のオリジナル塗香。塩江町のある寺院でも塗香を作り、お参りされた方に塗ってさしあげていたそうです。
ある日、車椅子に乗った参拝客の姿が。いつものように塗ってさしあげたところ、その香りとありがたさに感動し、数年ぶりに立って歩いたというのです。
確かに塗香には漢方成分も含まれるため、薬効も期待されます。でも、不自由な脚を一瞬で治すことはもちろんできません。
香りによって心が救われ、「立ってみよう」という前向きな気持ちにさせてくれたのかもしれませんね。
その昔、一本の古木が淡路島に流れ着きました。まだ肌寒かった4月のこと、焚き火をしたらそれはそれは芳しい香りに包まれたといいます。
これは沈香だといって日本に広めたのが博識ある聖徳太子。4月18日はお香の日なのですが、偶然なのか必然なのか?この日は一史さんの誕生日です。
今、一史さんは日本を代表する「香想師」として、お香の文化を国内外に発信されています。かつてはあの徳川家康公もお香を愛用していたというご縁もあり、徳川家19代目で次期当主の徳川家広さん(写真右)から、香想師・岩佐喜雲の称号をいただいています。
いよいよ讃岐のお香のブーム到来か!?
最終回は、この新しい文化を生んだ岩佐佛喜堂のご紹介です♪
岩佐佛喜堂 本店
http://www.buddha.co.jp/
OPEN 9:15~19:00(月曜は18:00まで)
CLOSE 年末年始ほか
〒760-0029 香川県高松市丸亀町10-3
Tel. 087-851-1033