コーフィのおいしい喫茶店
第四回 「コーフィのおいしい喫茶店」
お店のドアを開けると、“コーフィ”のいい香り・・・
ここは丸亀市今津町の「珈琲倶楽部」。立て看板の横、コーフィ豆販売中と書かれた旗を見かけた人もいるのではないでしょうか。ゆめタウン丸亀から車で数分のところにある、昔ながらの喫茶店です。
オーナーは大西一暢さん。コーヒーと楽しいことが大好きな、陽気なマスター。
なんでも大学時代に訪れた仙台の自家焙煎店で、コーヒーをコーフィーと呼んでいたその響きに惹かれ、自分のお店にも取り入れたそうです。
こちらで飲めるコーヒーは、中深煎りの「ほろにが」、中煎りの「まいるど」、深煎りの「にがにが」の3タイプ。なんとブラジルやインドネシアの農園にも足を運び、こだわりの生豆を仕入れて自家焙煎しています。
中讃エリアでおいしいコーヒーが飲めるお店を聞かれたら、私は迷わずここをおすすめすると思う(ちなみに私はほろにがが好きです)。
週に3日は店内で自家焙煎しているマスター。今日はたまたまそのタイミングでした。
「温度と時間とコーヒー豆の色が決め手。経験と自分の感覚が大切だから、まさに五感で焙煎する感じ」。マスター、なんかカッコイイんですけど!
耳をすませば、焙煎機の中で豆がパチパチ跳ねる音。今日も元気か~?なんて豆に語りかけながら、朝日の差し込む窓際で焙煎する時間がとても好きなんだ、と話してくれました。
朝6時半からオープンしているこの喫茶店。本当にいろんなお客さんが訪れます。
スーツを着たサラリーマン、作業着のおにーさん、毎日同じ時間に集まるご近所の人たち。そうかと思えば、コーヒーをおかわりして何時間も話しこんじゃう人や、一人で新聞を読んでいるのに隣の席の楽しい会話が耳に入り、思わず笑ってしまう人も。お客さん同士で新たな交流が生まれることも少なくありません。
喫茶店で見られる、何気ない風景。それを眺めるマスター自身が一番楽しんでいるっぽいです(笑)
私も、今この時間がとても心地いい。
こんな空間を日々提供している「珈琲倶楽部」のことを、もっと知りたくなりました。
オープンは今から22年前。
スタバが登場し、俗に言うコーヒーのセカンドウェーブが到来する少し前の時代です。
当時使っていた豆は、あの“コーフィー”のお店から仕入れたもの(メーカーの豆も足していた)。とても好評で、お客さんから豆を売ってほしいと言われることもありました。でも、その頃はまだ自家焙煎をしておらず、販売するほどの量を確保できなかったそうです。
そんな時です、高松でちょうど店じまいする自家焙煎店とご縁があったのは。そこで豆を買っていた人に引き続き豆をお届けすることを条件に、焙煎機を受け継ぐことになったのです。
焙煎することが、自分の中でのターニングポイントになった――。
焙煎は経験と五感でするものだ、とマスターは最初に教えてくれました。
焙煎機の持ち主がつきっきりで教えてくれたし、仙台から駆けつけた“コーフィー”のマスターもレクチャーしてくれた。でも、焙煎は決して簡単ではありません。試行錯誤を重ねて重ねて…ほぼ独学で身に付けました。
焙煎した豆は、いわば自分の作品だと考えるマスター。愛すべき作品の味をお客さんにおいしいと評価してもらえる、その喜びが原動力になっているそうです。
最初に喫茶店への夢を持ったのは、彼がまだ中学生だった頃。
「いつか見た映画雑誌で、大スター・高倉健さんがサイフォンでコーヒーを淹れているという記事を読んだ。自分にとってそれはすごく大人で、憧れそのものだった」
高校生になり、初めてのアルバイト料で手に入れたサイフォン(写真)。アルコールランプの炎で熱し、初めて淹れたコーヒーはどんな味だったのでしょうか。
マスターのキラキラした思いとお客さんたちの日常が詰まった「珈琲倶楽部」。
「いつもの」と言えるようになるまで、通いたくなる喫茶店です。
珈琲倶楽部 http://www.0024coffee.com/
OPEN:月~日 6:30~18:30
CLOSED:元旦(臨時休業あり)
〒763-0051 丸亀市今津町259-10
Tel.0877-24-5925 Fax. 0877-24-5926