住宅街の小さなパン屋さん
第五回「住宅街の小さなパン屋さん」
珈琲倶楽部から車で5分ほどの住宅街に、口コミで人気のパン屋さんがあります。
ちょっぴり道が細いので大型車はヨイショが必要。それでも、小さな看板を頼りにぜひ行ってみてほしいおすすめのパン屋さん。
ここで買ったパンを珈琲倶楽部に持ち込んで、“コーフィ”と一緒にいただくこともできます。
「小麦の風Compania」が看板を掲げたのは、今からちょうど10年前。4月12日のパンの日(知らなかった!)にオープンしたそうです。
カンパニアとはラテン語で仲間。古くは、パンを分け合う人たちという意味を持つそう。
もうそれだけで、お店の優しい雰囲気が感じられてほっこりします。
一般的なパン屋さんとは少し違って、パン作りが丸ごと見える店内。工房に直接買いに来る感じでしょうか。焼く前のパンが並ぶ様子や焼き上がった瞬間を見ることも。
パンは30種類ほどと限られていますが、並んだパンたちを見るだけで、一つひとつ丁寧に作られているのが伝わってくるから不思議です。
一番人気は看板商品の食パン・小麦の風。私も大好きです。
小麦粉と塩、砂糖だけの超シンプルな味わいで、“余計な添加物なし&国産小麦&天然酵母”というパン好きが好む要素をしっかりと満たしています。
天然酵母を使って12時間の長時間発酵。低温でじっくりと発酵することで、うま味成分であるアミノ酸が生成されるそうです。
「ごはんと同じように毎日食べられるパンを作りたくて。私はお味噌汁を添えて朝食にすることもあるんですよ」
パンが大好きなオーナーの真鍋留美さんは、幼い頃からパン屋さんになりたいと願い、その夢を叶えた人。
パン屋さんやお花屋さんって、子どもたちの憧れ。中学生になっても高校生になっても、大人になっても。ずっと変わらずに同じ夢を持ち続けたなんて素敵!!
毎日パンを焼くのが幸せ、と微笑む留美さんのあったか~い気持ちが込められたパン。お店に並ぶパンを見て、丁寧に作られているのが伝わってきた理由が分かりました。
そんな留美さん、ご家族が転勤族だったため香川に来たのは中学生の時。最初は地元という感覚はなかったと言います。
「お店をオープンしてからですね。ご近所さんが通ってくれるようになって、交流も増えて。今はここが私の故郷なんだと思えます」
パンの本場・フランスでは、パン屋さんでパンを買うことが当たり前。買ったばかりのフランスパンを手にご近所さんと井戸端会議~なんて風景も、ありふれた日常なのでしょう。「小麦の風Compania」の周りでも、そんな幸せなひとコマがあるんだろうなぁ。
小さな子どもも、妊婦さんも、おじいちゃんやおばあちゃんも。
素朴だけど、毎日安心して食べられるパンを作り続けていきたい――。
焼きたてパンの香ばしい香りと留美さんの優しい笑顔は、きっと、10年後も変わらずにこの場所にあるんだと思います。
と書いていたら、パンが食べたくなってきた…。
小麦の風Compania http://komuginokaze.web.fc2.com/
OPEN:10:00-18:00
CLOSED:日・月・祝
〒763-0053 香川県丸亀市金倉町1543-1
Tel. 0877-25-2544