授与品「背守り糸」

 病気にならず元気でいてほしい。大きな怪我をしないでほしい。その願いをひと針ひと針に込めながら、子どもたちが身につける着物の背中に縫い取りをする風習「背守り」。
その背守りに使う「背守り糸」が安産祈願の授与品となります。


背守り糸 中

 安産の守護神である「おかるてんさん」。そのおかるてんさんの象徴である「ザクロ」。この背守り糸にももちろんザクロが使われています。

 その祕密は糸の色。上品で自然な風合いの黄色い糸ですが、これはザクロの皮で草木染めされたもの。ザクロといえば紅色のイメージですが、草木染めの世界では黄色の染料として知られているのです。

 安産の願いを込めて妊婦さまよりおかるてんさんに御供されるザクロ。その願いは次の参拝者へ、果実はジャムとなり、その皮は背守り糸の染料として、余すことなく紡がれていきます。



 生まれてくる我が子への想いを込めて背守りを縫い取りませんか?その誕生を心待ちにしながら、チクチクチクチクと縫い取る時間は何より愛おしいものになるでしょう。

 こちらの背守り糸は10月頃より金倉寺安産祈願の授与品となります。それまでの祈願の方でご希望がありましたら、お声掛けいただければ授与いたします。

 金倉寺安産祈願



【背守り(せまもり)】とは
 その昔、霊魂は背中に宿っており、背中には目がなく無防備なため、着物の背の縫い目によって身を守っていると信じられていました。しかし大人の着物と違って、子どもの着物には目がないことから背後から魔が忍び込むかもしれない。そう危惧した母たちは魔除けとして背に縫い目をつける「背守り」をはじめました。
 着物の背に沿うようにまず縦に9針、そして男児なら左に3針、女児なら右に3針。これが背守りの基本形。糸の端は、長く垂らしておきます。それはうっかり井戸や池に落ち込んだときに、守り神が引き上げやすくするため。一方悪い鬼に捕まるのを防ぐために、糸を玉結びせず、するりと抜けるようにしました。
 そこから、背の家紋をつける位置にさまざまな文様をつけるように。力強くのびる麻の葉や、寒さに耐えて咲く梅の花、厄除けになる籠目模様など。我が子への母の想いを、ひと針ごとに祈りを込めて縫いつけられているのです。