歴史・文化
過去と今が交差する~丸亀城探検2
「過去と今が交差する~丸亀城探検2」
AR/VR(拡張/仮想現実)アプリを使った、ちょっとユニークな丸亀城探索。
後半は香川一の?お城マニア・東さんの案内で、あの石垣の魅力に迫ります。
丸亀城築城は当時の領主であった生駒氏ですが、彼は高松城に移った後、一国一城令によりここを廃城しています。
再築に取り掛かったのは、山﨑家治さん。丸亀藩の初代藩主です。この山﨑さんの功績により、丸亀城の代名詞ともいえる美しい石垣が完成したと言えます。
昔の石垣は石を積み上げただけの「野面(のづら)積み」が主流で、当初の丸亀城もそれでした。(一部残っている箇所もあります)
が、安土桃山時代に起こった慶長の大地震で、秀吉が居た京都の伏見城が崩壊。以後、耐震を考えた石垣へとレベルアップしていきます。
山﨑さんが築城したのは、石垣を築く技術が最も発達した徳川氏の大坂城築城以後の時代。そう、ここには、石積みの最高峰といわれる技術が用いられているのです。
実は大阪城の石垣が全国の石垣で最も高い石垣だそうですが、丸亀城は大阪城より小さな石材を用いているので、技術力からいえば大阪城にも負けていません。
丸亀城、カッコイイ!
主な手法は、加工石を用いて積んだ「打ち込みハギ」。石を横配列に積み上げているので「布積み」とも呼ばれます。
隙間にはさらに間詰め石を詰めて隙間を埋め、見た目の美しさだけでなく補強もカンペキ。勾配も最後が急勾配になった形状で、敵が登りにくくなっています。
そして丸亀城の場合、小さな隙間にも間石が詰めてあって実にキレイなんです。山﨑さん、お仕事が丁寧だわ♡
また、経年劣化などで膨らんできた石垣を保護するために、外側から新たな石垣を組んで二段にした「ハバキ石垣」も見どころ。はい、これも山﨑さんのお仕事です。
さらに、石垣を拡張した部分(いわゆる増築)も、合わせ目がキレイに見えるよう積まれていました。
さて、ここでこんなエピソードが。
実際に石垣を築いた功労者で、羽坂重三郎さんという人がいました。当時は「空飛ぶ鳥以外にこの城壁を乗り越えるものはない」と言われていた石垣。しかし、職人技なのか自身の作品だからなのか、なんと羽坂さんが鉄の棒一本でスイスイ登ってみせたそうです。
それが仇となり、万一敵に通じたら大変だと、二の丸の井戸で殺されてしまったのですが…。時代だからとはいえ、悲しいお話ですね。
丸亀城の最高所にあるこの「二の丸井戸」、実は日本一の深さで65mあると言われています。過去にケーブルテレビの取材があって測ってみたところ、最低でも50mはあったそうです。ちなみに、石垣のどこかにスマホをかざすと、忍者のように登る羽坂さんが見られますよ。
高度な技術とさまざまな工夫、そして山﨑さんの丁寧な仕事ぶりで美しい勾配を描く石垣。東さんおすすめの撮影スポットは?
まず、最も高く扇の勾配と呼ばれる部分。パンフレットやインターネットでもよく見る一枚ですね。
そして、三の丸北側の高石垣。見返り坂で足を止めて石垣を見上げると、「高いな~!」と思わず感嘆の声があがります。
この石垣は上から見るとさらに迫力が。高さ、勾配、長さ、どれをとっても讃岐が誇る石垣美を見ることができるので、ぜひ上からも見てみてくださいね。
頑張って本丸まで登ると、すべての建物がVRで復元!天守の中から見ればお殿様気分を味わえるかも。そのほか、クイズラリーを楽しんだり歴史上の人物と記念撮影ができたりもします。(城内の観光案内所で、アプリの入ったタブレットを貸し出してくれます)
先人たちの知恵とたくさんのロマンが、今も眠る丸亀城。
あなたもその息づかいをリアルに感じられるはずです。
丸亀城天守
OPEN 9:00~16:30(入城は16:00まで)
CLOSE なし
丸亀城大手一の門
OPEN 9:30~16:00
CLOSE 雨の日
〒763-0025 香川県丸亀市一番丁
Tel.0877-22-0311(丸亀市観光協会)
東さんの記事はこちら!
地域を支えるヒーローたち vol.9 丸亀市教育委員会 文化財保護室室長 東 信男さん