牽牛図・織女図を期間限定公開

当山の宝物として代々受け継がれる牽牛図と織女図を「七ヶ所まいり 七夕めぐり」にあわせて公開いたします。
期間は札所番号にちなみ昨年定めた「七ヶ所まいりの日」である7月1日(金)〜7月7日(木)までの1週間となります。


牽牛織女図

牽牛織女図


こちらの軸は対となっており、右側に牽牛図(けんぎゅうず/彦星)、左側に織女図(しょくじょず/織姫)をお奉りします。
絵師は狩野家9代目狩野永叔主信の弟子である狩野敬叔愛信によって描かれたもので、両軸とも左上に書かれた和歌は滋野井公麗(しげのいきんかず)の筆によるものです。


牽牛図

牽牛図


織女図

織女図


牽牛図の和歌は「たなはたの あふせ絶さぬ 天河 いかなる秋か 渡りそめ剱」と書かれており、待賢門院堀河(たいけんもんいんのほりかわ)によって詠まれたもの。
一方、織女図の和歌は「なかむれハ ころも手涼し 久かたの あまの河原の 秋の夕暮」と書かれており、こちらは式子内親王(しょくしないしんのう)によって詠まれたものでしょう。
万葉集には七夕の歌だけで約130首あり、平安時代にも年に1度しか逢うことのできない牽牛と織女へ想いを寄せて盛んに歌が詠まれたことが分かります。

また両軸に描かれた鳥はカササギであり、天の川の橋渡しをする鳥と言われています。
牽牛側に5羽、織女側に2羽の計7羽おり、この数も七夕が行われる7月7日を表しています。
また織女図の右上に織機の上部のような物が見えますが、ここに5色の糸が掛かっているのが見えます。
この織女図の5色の糸と牽牛図の5匹のカササギとの繋がりを暗示しているのかもしれません。

この軸の制作年代は不明ですが、当山に制作年代の分かる狩野敬叔愛信の絵が複数あること、また滋野井公麗の生没年より1750年前後のものであると推測できます。
時期が1月ほどずれる旧暦の七夕は「七日盆」とも言われお盆を迎えるための行事でもありました。
当寺は当山の檀信徒宗とお盆を迎える準備と共にこちらの軸をお奉りしたのではないかと推測できます。
新暦(グレゴリオ暦)が当たり前になってしまった現在とは少し時期が異なりますが、そんな往時の七夕に想いを寄せる時間となっていただけますと幸いです。